箒あれこれ


ホーキのうつりかわり箒(ほうき)は古く「ハハキ」とも読みますが、文献での初見は古事記の「帚持」(ハハキモチ)の語にあるといわれています。奈良時代、天平宝宇2年(758年)の献上品が正倉院に現存するそうです。箒には色々な呪的な習俗があり、これを踏んだり、またいだりすると罰があたるとか、逆さに立て長居の客を帰らせるまじないにもする、などがあります。

箒の種類は様々で、用途別により座敷箒庭箒。型式別で手箒長箒。材料別で草箒竹箒棕呂(しゅろ)箒万年箒(パーム箒)自在箒(ブラシ箒)などがあります。ここで一言いわせてもらいますと、「タカボーキ」なるものは文法でいう同行通音による「竹箒(タケホウキ)」のことで、タカ箒→高箒→長柄箒のことではございませんので、ご注意を。

座敷箒の原料は、いね科のほうきもろこし(一年生草木)で、全体の形はモロコシに似ています。茎は長く、2m以上にもなり、夏になると茎の頂に大きな花穂をつけ、実の入る前に刈り取って箒を作ります。箒もろこしの他にホウキギという草があり、よく混同されるのですが、これはあかざ科ホウキギ属の一年草で、庭箒の原料であり、座敷箒の原料とは別のものです。ホウキギは「とんぶり」がとれる方で、秋田県あたりでは防風のため、よく庭に植えたりしています。

上記における庭箒竹箒に関しては、平安期からあったのは確認できるのですが、江戸末期の守貞漫稿等を調べても、座敷箒といえば棕呂箒だったようで、もろこし系の箒は当時としては新製品として認知されていたようです。第二次大戦頃迄、京都以西では座敷箒といえばやはり棕呂箒のことで、もろこし箒は関東箒江戸箒東京箒と呼ばれていました。また話は変わりますが、弊社は明治に中頃、東京で初めて床式モップを作ったことで知られております。

主産地は関東信州で春四月に種をまき、約三ヶ月で収穫できる為、お盆前の現金収入になることや、穂先のみの使用で大部分は畠の肥料になるため、「裏作」としての意味があり栽培されていたようです。ただし、穂が少し茎色がかって粉が出るようになった最良の状態での収穫期間は三日間ほどでしかないため、草の栽培は専業農家しか出来ません。

また、まきつけの後、二回ほど間引きをしなければならないため、平均1千平方メートルでの収穫量は80kg程度しかなく、戦後は国内では殆ど採算がとれなくなりました。弊社でも千葉県八街の契約農家から供給を受けていましたが、国際空港が出来た後は、県つくば市加園(かその)さん作る草を使用しています。昨今国内で消費される箒草はほぼ100パーセント輸入にたよっており、地草を使用している製品は弊店の商品以外はほとんどありません。


 

ホーキのあれこれ、手入れ私ども箒を販売する上で、お客様と触れ合い、お話を伺っていると、箒に関して実にさまざまな俗説があるのに驚かされます。「何故こんなことが・・・」と考えてみますと、原因は箒の行商人にあると思われます。箒の行商は色々な話をしながら商売へと持っていくという仕事の関係上、お客様の為になりそうな話をあれこれとするからだ、と思われます。そのいくつかをご紹介すると、

1.水または塩水につけてから使用する・・・塩水につけると固い草が柔らかくなります。品質の悪い草を良い草に近づけるためのの手段ですが、良い柔らかい草を使用している箒は塩水につけるとかえって「コシ」がなくなってしまいます。弊店の商品は、何もせずそのまま御使用下さい。

2.布をかぶせて使う・・・箒の命は「穂先」です。もとに布をかぶせても、かぶせなくとも、関係ありません。




・・・・・それでは「手入れ方法」として
 

1.穂先が曲がってしまったら

量販店等で売ってる箒が青い色をしていたら、それは外国産の草を一回脱色してから青い染料で煮たものです。こういう草は繊維自体が弱くなっているため、クセがつきやすく、そうなるとなかなか元に戻りません。天然の草は多少見栄えは悪いですが、クセもつきにくく、折れにくいため長もちします。又、もしクセがついてしまった時は霧吹き等で少し多めに、曲がった部分に水をつけて下さい。こうして少しおいてから、その後手ぐしで元に戻して掛けておいていただくと、だいぶ元に戻ってきます。 

2.長柄の場合、左右を相互に

左右が均等に減っていきます。

3.収納する場合は

壁にぶら下げたり、掛けたりして収納してください。

4.座敷を掃いて磨り減ってしまったら

座敷用から板の間用として、板の間でお古になってしまったら土間箒と順次におろして最後は庭掃除用に。