
ここから本文です

小津安二郎監督作品「東京物語」をご覧になると、その冒頭、三宅邦子がお座敷を掃くシーンが映し出されるのに気付かれることと思います。「東京物語」に描かれている情景、風景、情感そして人情のいずれもが懐かしく、古めかしく、また普遍(不変)的であるといえましょう。小津監督がどういった意図で「箒でお座敷を掃くシーン」を冒頭に持ってきたのかは、無論、定かではありませんが、「箒」が「東京物語」という世界観のなかに溶け込んでいる、もしくは当時の「生活・暮らし」のなかに溶け込んでいた-と改めて再確認できる一場面であると思われます。
時代の移り変わりとともにライフスタイルや価値観も劇的に変わり、「東京物語」で映し出される「生活」(もしくは生活臭)はほとんど残っていないといえるでしょう。そして移り変わりとともに消えていき、また廃れていった道具・モノも沢山ありましょう。けれども、それらがまた「時代」というものの変遷を映し出し、私たちにある種の「郷愁」を呼び起こす「鏡」となっているのではないでしょうか。実際全国の催事場や店頭で販売しておりますと、「懐かしいねぇ」・「昔はよく使ってたねぇ」といったお客様の声にはじまり、昔の思い出話へと発展していくことがよく御座います。そして「また使ってみようかしら」・・・そうやってお買い上げ頂くことも多々御座います。
「モノ」をとりまく「環境」や人の「意識」が変わり・・・そしてまた「モノ」が移り変わっていく。私共の「江戸箒」はそんな時代の移り変わりの中、ご愛顧・ご愛用の声を頂戴して参りました。創業当時からの作り方・編み方でやって参りました。「江戸箒」なる「モノ」は変わっていません、否、「江戸箒」とお客様の「関係性」、それこそが移り変わっているのだと私共は考えます。
私共の「江戸箒」がこれから「時代」の移り変わりと共に、お客様とどのような関係性を築き上げ、どのように「モノ」として使われていくのか。それらを見届け、これからも「箒」をご提供してゆくのが私共にとって「挑戦」でもあり「楽しみ」でもあり「使命」でもあると考えます。
本日は、私共のウェブ・サイトをご覧になっていただき、まことにありがとう御座います。ちょっとばかり大袈裟な話になりましたが、是非、これからもご愛顧の程、宜しくお願い申し上げます。ご意見・ご感想・罵詈雑言なんでも結構です。なんなりとお客様の「お声」をお聞かせ下さい。心よりお待ち申し上げます。
最後に、「東京物語」の中で笠智衆と東山千栄子(夫婦役)そして原節子(戦死した息子の嫁役)が「東京見物」をするのですが(もちろん、はとバス)、ある建物の階段を上り東京を一望するシーンが御座います。その撮影に使われた階段が「銀座松屋」に設置されていた階段で御座います(現在では何度かの改修で確認できませんが)。銀座から京橋、そして日本橋。そうしたちょっとした歴史や風景の「移り変わり」を感じながら、是非、この界隈に足をお運びになって下さい。あらためて従業員一同、心よりお待ち申し上げます。
ここからグローバルナビゲーションです