京橋白伝・渡世日記|コラム

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ラブレター・フロム・カナダ

江戸箒を使い続けて20年近くなる。白木屋伝兵衛で働き始めるにあたり、単純に「使ってみないとなー」との思いに至ったからである。ココで働いている以上、「セールストーク」的な意味合いが強くなるのは避けられないが、良くも悪くも「率直に」その使い続けている「感想」をこのコラムの中で述べていこうと思う。

「江戸箒」はその名の通り、白木屋開業(天保1830年)から作り続け、販売している箒である。つまり太平洋戦後以降に構築された「高度経済資本主義」の「モノサシ」以前から存在している「モノ」なのであります。

これは何を意味するのか、というと「モノ」を作り提供する段階での「優先順位」が今と全く違う時代に生まれたもの・・・ということ。つまり「価格・マーケティング・消費動向」よりも、「長く・大事に・有用に使われるために何が必要か」ということが、その「モノ(江戸箒)」を作り・提供することの第一優先事項となっているのである!(つまり『消費第一主義』とは真逆であり、ある意味そうした価値感を逆転させてしまう・世の中の見え方が変わってしまう『コワい』モノなのでもあります)。

「江戸箒」の耐久性・使用感についてクドクド述べる&大袈裟な物言いは止すとして(詳細は江戸箒について・Q&A欄をご参照下さい)、「モノ」と長く付き合い・共に時間を過ごすとはどういう価値や喜び・発見があるのかをお伝えしたく思っているのであります。

ま、しかし、このような「今と全く違うモノサシの中で生まれたモノ」を、この「現代」の中で「商売」として成り立たせるっつーのは、これやっぱりナカナカ大変なことでありまして、この拙文をシタタメテイル今現在、隣の机でギンコーの通帳を見ながら、海よりも深く・空よりも高い「溜息」をつきまくっている「白木屋当主・7代目」の姿をご覧頂ければ、すぐにでもご理解いただけるであろう・哀笑

さて、「江戸箒」について語る前に、中学3年の時に購入したダウン・ベストを今でも愛用・着用している件についてオハナシしたい(いやーだから30年以上前だよなぁ)。これはワタクシが映画「バックトゥザフューチャー」を観た時に、主人公であるマイケル・J・フォックスがそのスクリーンの中で着用していたのに憧れ、購入したブツなのである。

今のナウいレッツゴー・ヤング層には信じられないだろうが、当時ワタクシの住んでいる街はファッションとしての「ダウン」の概念は、ほぼ無かった。ので、とある街はずれにある「服屋」にそのダウンベストが陳列されてあるのを見かけた時に即購入、以来、着用し続けている。

ともに時と齢を重ね、もはやそのダウン・ベストはワタクシの「相棒」と呼ぶべき存在である。汚れ・キズ・シミを纏い佇むその姿に、「魂(ソウル)」が宿っているのを感じる。カナダ製のそのダウン・ベストを誂えた職人の方、そして遥かカナダから僕の元に届くよう尽力してくれた全ての方々に、実直かつ素直にアイム・ソーリー・・・ではなく、「ありがとうございました」、と申し上げたい。そして一人ダウン・ベストと共に過ぎ去った時間を思う時、世界中のどれだけの水が橋の下を流れたのだろう、と粛然かつ慄然とせざるを得ないのである。そうした思いを経て、最終的には泰然たる心境にて、日々掃除に勤しむ心境になれれば、これ幸いだと思っている。

ちなみに、江戸箒・ダウンベスト以上に「喜びも悲しみも幾歳月(木下惠介監督に最敬礼)」、共に年を重ねている妻曰く、将来(いや明日かも・いやいや今夜かもしれない)ワタクシの心臓が止まり火葬にて荼毘に付す際、そのダウン・ベストと共に納棺・共に昇天する予定になっているそうである(天国か極楽に召されることは「ほぼ」ないであろう・寂笑)。

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人に勧めたくなるモノ・江戸箒(ほうき)
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